──その原因、評価制度かもしれません。
「うちは人を育てたいと思ってる。でも、なかなか育たないんだよね…」
そんな声を、私たちはこれまで多くの経営者から伺ってきました。
育てようという想いはある。時間もかけている。
けれど、手応えがない──。
でも、それは社員が悪いわけではありません。
そして、社長が間違っているわけでもありません。
育成がうまくいかない背景には、評価制度の「あり方」が深く関係している。
今回はそんなお話です。
「成長してほしい」は伝わっていても、「何をどう伸ばせばいいのか」は伝わっていない
ある若手社員が、面談でこんなことを口にしました。
「“もっと成長してほしい”と言われるけど、何をどうすればいいのか分からないんです」
社長や上司は、「期待してるよ」「頑張れよ」と声をかけます。
でも、その“期待”の中身が明確でなければ、社員は動けません。
特に若い世代ほど、「成長とは何か」「何をすれば評価されるのか」に敏感です。
ここにズレがあると、
いくら研修をしても、指導をしても、育成は空回りしてしまいます。
育成は、制度ではなく文化の中で起きる
評価制度というと、どうしても「成果の査定」や「昇給のための仕組み」と思われがちです。
けれど、本来の役割はそれだけではありません。
評価制度は、「こう育ってほしい」という会社の願いを伝える道具です。
そしてその願いが、単なる説明資料やマニュアルの中にあるのではなく、
社員の行動や判断の中に、自然とにじみ出てくること。
これこそが「制度が浸透した」状態です。
つまり、「浸透」の本質とは、
制度の存在を知っていること(認知)ではなく、
その背景にある理念や価値観が、組織文化の一部として生きていることなのです。
説明しただけでは「育成」にはつながらない
実際の現場では、こうした“浸透のズレ”がよく見られます。
- 制度を説明したが、現場には届いていない
- 評価の基準を共有したが、現場の行動は変わらない
- 教えているのに、定着しない
これらはすべて、「伝えた」と「伝わった」の違いによるものです。
本当に大切なのは、社員がその制度の意味を理解し、共感し、自分の行動として試し、体感し、やがて“当たり前”として使いこなせるようになるプロセスをつくること。
つまり、育成もまた、制度を「文化」として育てていく営みなのです。
制度が文化になるとき、育成は自然に起きる
ここで、ある会社の例をご紹介します。
その会社では、評価基準に「自ら提案し、改善に取り組む姿勢」という項目を設けていました。
最初は、「提案なんて面倒くさい」と敬遠されていた項目です。
しかし、社長自らが「私は、挑戦する人を応援したい」と何度も伝え、
実際に提案した社員をきちんと評価し、表彰し、称える文化をつくっていった。
数ヶ月後、何が起きたか。
「あの人、また提案したってよ」
「ウチでもやってみようか」
「あの案件、ちょっと改善してみない?」
そんな言葉が現場で交わされ始めたのです。
評価制度が、育成の“文化”として根づき始めた瞬間でした。
「育てる仕組み」から「育つ文化」へ
社員が育たないと感じるとき、
制度が原因であることに気づく経営者は、実は少なくありません。
けれど、そこに気づき、制度そのものを見直せる社長こそ、
組織の未来を変えられる人だと、私たちは信じています。
育成は、評価制度を整えた「その先」にあります。
ただし、それは仕組みの話ではなく、“人と組織の物語”をどう描くかという話です。
まとめ──「育てたい」と悩む社長と、一緒に考えたい
育成とは、社員に未来を見せること。
評価とは、その未来に向かう道筋を照らすこと。
評価制度を、社員に成長を求める道具から、
社員が自ら育ちたくなる“文化”へと変えていくこと。
それが、育成の行き詰まりを打破するカギだと、私たちは考えています。
あなたの会社が、社員とともに育ち、動き、進化していく。
そんな組織になるための第一歩を、一緒に考えていきましょう





