ようやく育ってきたな──そう思った矢先に辞めてしまう。
3年目、4年目。
任せても安心できる存在になり、
会社の“未来の柱”になると期待していた人材ほど、
突然「退職します」と言ってくる。
「え、なんで今?」
「これからじゃないか。」
「あと少し頑張れば見える景色があるのに。」
社長はそう思う。
しかし本人は、ずっと前から「合図」を出していた。
ただ、その合図を受け止める“仕組み”がなかっただけです。
人は「やり切った」と感じたとき、
「次の成長が描けない」とき、
静かに、迷いなく会社を離れます。
“育成した”と“定着できる”は別の設計です。
育てることはできていても、
留まる理由が見える化されていない。
そのわずかな差が、
「辞めるか」「残るか」を決めています。
本稿では、
「育ったのに辞める」現象を止め、
育成投資が“回収できる”組織設計へ切り替える視点をお伝えします。
1. なぜ「育った直後」に辞めるのか
多くの社長は「不満があったのか?」と考えます。
しかし、多くの場合、理由は “不満ではなく、未来” にあります。
退職理由の本音はこうです:
- 「この先、自分がどう成長していくのかが描けない」
- 「ここからの自分に期待されているものが曖昧」
- 「任される仕事が“広がるのか、繰り返しなのか”が見えない」
つまり、
辞めた理由は 今ではなく、未来の不透明さ。
未来が見えない状態は、“現状維持で終わる”恐怖に近いのです。
2. 育成と定着は、まったく別の仕組み
多くの会社は、育成と定着を同じものとして扱います。
育成できている → 当然、定着する
これは誤解です。
- 育成=できる仕事を増やす支援
- 定着=未来を描ける状態を用意すること
定着は、「この会社でこれからどう活躍できるのか」の“見える化”で決まる。
育成が終わったタイミングこそ、
定着設計が必要な“第二のスタートライン”。
3. 戦力化人材の成長カーブと「期待役割」の可視化
3〜4年目で辞める人の多くは、
こう感じています: このまま続けても、自分はこれ以上変わらないのでは?
ここを言語化するのが 等級 × 役割基準 です。

4. “投資回収できる育成”へ組織を作り替える手順
最初に着手すべきは、難しい運用ではありません。
役割基準の言語化です。
手順(小さく始める)
- 3〜5年目社員を一列に並べる
- 「期待していること」を言語化する
- 「できている人」と「まだの人」を分ける基準を明確にする
- それを評価項目に落とす
たったこれだけで、
育成 → 戦力化 → 定着 のラインが通り始めます。
まとめ 社長の背中をそっと押す言葉
社員は「辞めよう」と決めて辞めるのではありません。
“未来が見えない状態”が続いたとき、静かに離れていくのです。
未来を描ける状態をつくるのは、社長と会社の役割です。
もし今、
「育ったと思った人が辞めている」
という実感があるなら、
それは「人が悪い」のではなく、
**“仕組みがまだ育っていない合図”**です。
次回は10月1日は等級と役割基準についてお話します。





