社員視点と社員迎合。その境界線を考える。
「最近、評価制度が社員の機嫌取りになっていないか。」
ある社長から切り出されました。
評価制度を取り入れて5年目。
少しずつではあるけれど、社内にも浸透し始めたかなと思っていた。
そんな時に出てきたのが、この言葉です。
「最近、評価制度が社員の機嫌取りになっていないか。」
確かに会社都合の評価制度はよくない。
社員が納得できる評価を目指し、制度を見直してきました。
迎合するつもりなど全くありません。
評価制度をきっかけに、月1回の週休3日制を導入し、働きやすさを考え
た制度改革も進めてきました。
でも、ふと思うらしいのです。
これって、本当に社員や会社のためになっているのだろうかと。
私はこの言葉が、引っ掛かりました。
社員視点を考えることは、悪いことではない
評価制度は会社の都合だけで作るものではないし、
社員が納得して取り組める制度でなければ意味がない。
これは制度を運用する上でとても大事なことです。
そんな声があるからこそ、
評価を社員が納得できるものにしようと、
多くの企業が社員視点を取り入れています。
それ自体は間違っていないと思います。
しかし問題は、その先です。
社員視点と社員迎合は、似ているようで違う
社員を大切にすることと、
社員に迎合することは、
似ているようで全く違います。
社員視点とは、社員が成長できる環境をつくることです。
その基準は、「社員に好かれるか」ではなく、「社員が成長できるか」です。
時には厳しいことを伝えることもある。
高い期待をかけることもある。
でも、それは社員の成長につながると考えているからです。
一方で社員迎合は、社員の不満や反発を避けることが目的になってしまう状態です。
評価を甘くする。
言うべきことを言わない。
社員に合わせすぎる。
一見、社員思いのように見えます。
しかし、それで社員が成長できるでしょうか。
会社が社員を見る視点と、
社員の機嫌をうかがうこと。
似ているようで、その間には大きな違いがあると思います。
今、多くの会社がその境界線で悩んでいる
話を聞いているうちに、
これは、この会社だけの話ではないと思いました。
最近は、
「厳しい指導はハラスメント」
「注意すると辞める」
「若手に合わせよう」
そんな空気感があります。
もちろん昔のような威圧的なマネジメントは論外です。
しかし逆に、
社員の不満を恐れるあまり、本来言うべきことまで言えなく
なっている風潮もあります。
評価まで甘くなる。
改善点を伝えられない。
その結果、誰も成長しない組織になっているのではないか。
そんな危機感を覚えます。
若手が求めているのは「楽な会社」ではない
これは私の持論ですが、
本来、社員と会社の間には、適度な緊張感があってもいいはず。
若手は厳しい会社を嫌っているわけではなくて。
何を頑張っても同じ。
誰でも評価される。
挑戦しなくても困らない。
そんな組織や会社に将来への不安を感じているのではないでしょうか。。
本来、会社は社員に期待する。
社員はその期待に応えようと努力する。
その適度な緊張感が人を育て、組織を強くします。
評価制度も、そのためにあるはずです。
評価制度は社員を守るためだけのものではない
評価制度は、社員を守る制度でもあります。
しかし、それだけではありません。
会社が目指す方向へ、社員の力を集めるための仕組みでもあります。
会社都合だけでもいけないし、
社員迎合でもいけない。
会社と社員、その両方が成長するための制度であること。
その原点を忘れてはいけないと思います。
最後に
今回、社長からいただいた
「評価制度が社員の機嫌取りになっていないか。」
という言葉は、私自身にも大きな問いを投げかけてくれました。
社員満足を高めることは大切です。
働きやすい会社をつくることも重要です。
しかし、その先にあるべきものは、
会社が成長し、社員も成長すること。
評価制度は、その両方を実現するための仕組みです。
もし評価制度が、
「社員に嫌われない制度」
になっているのであれば、
それは社員のためにも、会社のためにもなりません。
評価制度が、社員に迎合する制度になっていないか
私自身、この問いを忘れないようにしたいと思います。





